マクロ経済学 試験問題2005 担当・松原隆一郎
* 母国語が日本語でない者のみ手書きノートの持ち込み可。それ以外は持ち込み不可。
* 60分・解答用紙は両面使用可。
(第一問)国民経済計算の諸概念において、次の(1)〜(3)は何に相当しているか。
(1)GDPから固定資産減耗を差し引いたもの
(2)GDPに海外からの純所得を加えたもの
(3)国民純生産(NNP)から「間接税−補助金」を差し引いたもの
(第二問)新古典派の資本経済について考える。新古典派の市場観では、需要と供給の不均衡は、基本的に価格によって調整される。以下の設問に答えよ。
(@)貯蓄が金利だけで決定されるとする。このとき金利が上昇した場合、貯蓄は増えるか、減るか。
(A)貯蓄は資本市場に資金を供給する一方、投資は資本市場における資金の需要と考えることが出来る。このとき需要(投資)と供給(貯蓄)を調整する価格の役割を果たすのはなにか。
(B)新古典派の資本市場においては、投資と貯蓄の不均衡が価格の調整によって解消されるが、ケインズの資本市場では投資と貯蓄の不均衡は容易には解消されない。なぜか、新古典派とケインズを比較して答えよ。
(第三問)均衡国民所得を決定する要素のうち、政府がコントロールできるのはGとTである。ここでは、主に政府支出Gについて、その増減が均衡国民所得Yに、どのような効果をもたらすかを考える。
(@)Gが⊿Gだけ増加したとき、Yがどれだけ増加するかを考えよ。
(A)cは消費性向であり、0 < c < 1であることから、政府支出乗数は1より大きいか、小さいか。また、このことが政府支出の景気刺激効果においてどのような意味を持つかを述べよ。
(B)政府支出Gを増加させるのと、民間投資Iが増加するのとでは、どちらがYをより大きく増加させる効果を持つか。
(C)以上、政府支出の増加がマクロ経済政策として有効であるとされる理論を確認したが、なぜ政府支出Gの増加が均衡国民所得Yをそれ以上に増加させるのかについて、その波及プロセスを説明せよ。
(第四問)IS=LM分析について以下の問いに答えよ。
(@)限界消費性向の上昇によって、均衡国民所得・均衡利子率はどうなるか。
(A)金融緩和がおこなわれると、均衡国民所得・均衡利子率はどうなるか。財市場・貨幣市場において生じるプロセスを含めて述べよ。
(B)金融緩和の手段を、三つ挙げよ。
(C)流動性の罠とはどのような状態をいうか。そのとき、どのような問題が生じるか。また、対策としてはどのようなものが考えられるか。説明せよ。
(第五問)開放国民経済にかんして、IS=LM分析モデルを修正して考える。
たとえば、財市場の均衡条件として、Y=C(Y)+I(r)+G+X(e,Y)
Xは輸出−輸入で、eは為替レート(単位円/ドル)とする。
当該国は小国であるとする。
資本移動が完全に存在するとして、固定レート制度のもと、財政政策の効果はどうなるか。金融緩和の効果はどうなるか。図などを用いて説明せよ。